歯周病とは
歯周病は以前「歯槽膿漏」と呼ばれていました。つまり、歯肉から膿(うみ)の漏れでる病気という意味です。今では歯周病と呼ぶようになり、生活習慣病の1つとして認知される様になりました。
患者さんと歯科医、歯科衛生士が協力して治していく病気です。
歯周病が進行すると歯を失うことにつながります。大がかりな治療が必要になる為、予防とケアが大切です。
健康な歯肉と歯周病の進行
健康な歯肉

歯周病治療の目的は歯周組織(歯の周囲の組織)の状態改善です。
健康な歯周組織とは以下が満たされている状態です。
・プラークコントロール20%以下
・歯周ポケット3mm以内
・歯肉の色がピンク
・歯肉やポケットからの出血なし
・歯の動揺の改善
歯周病を治す5つのポイント
①沈黙の病気と呼ばれる歯周病はなぜこわい?
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正常な歯周組織
歯科用ものさしをいれても歯ぐきの隙間は1~2mm程度。
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軽度歯周炎
ものさしが4mm以上入ってしまうということは、細菌も侵入する状態。
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重度歯周炎
歯周組織は2/3以上なくなりものさしは7~8mm以上入ってしまう。歯がゆれ歯ぐきが腫れ膿が出て口臭がする。
②治療はどうするの?
STEP1.歯石除去

歯周病の進行状況に応じて2段階にわけて歯石除去を行います。
スケーリング
スケーラーと呼ばれる専用器具を用いて、歯の表面に付いた歯石を取り除きます。
SRP
歯周病が進行すると歯周ポケットに歯石がたまります。
通常のスケーリングでは取りきれなかった歯茎の中に埋まっている歯石を取り除きます。
STEP1-1
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赤黒くみえる歯石をとります。
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歯石がこんなに取れました。
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10日後歯石をとった下の歯ぐきは少しずつ良くなってきています。でもこれだけでは肝心な歯ぐきの下の歯石はとれていません。つまり歯ぐきは治っていません。
STEP1-2
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歯ぐきの下に入り込んだ歯石をとります。時には外科処置でとります。(1回目)こんなに残っているのです。
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さらにもう1回とります。
(2回目) -
これでだいぶ治ります。
でも下がってしまった骨はあがってきません。
STEP2.歯周外科治療及び再生治療
歯周病で溶けてしまった骨はあがってきません。そこで、歯根膜などの歯周組織の力をかりて、再生治療を行う場合がございます。
再生治療には、再生膜・CGF・自家骨・代用骨・エムドゲイン・ AFG・リグロスなどがあり、症状に応じて最適な治療法を選択いたします。
再生治療のメリットは、歯周病によって失われてしまった歯周組織(歯槽骨や歯根膜など)を再生させることで、適切なブラッシングがしやすくなり、プラーク(歯垢)や歯石が溜まりにくい形態にできることです。
これによって、歯周病の進行や再発のリスクを低減できます。
丸印をつけた所に骨が上がって来ていることがわかります。歯のぐらつきもとれてきます。
失われた歯の部分にAFGと自家骨を混合して骨を再生させます。
STEP3.咬みあわせを含めた包括治療
歯周治療を長期に安定させる為には、奥歯と前歯が助け合っている咬み合わせを構築することが大切です。咬み合わせが悪い場合、一部の歯に負担がかかってしまったり、十分なブラッシングが行えなかったり、再度歯周病になってしまうリスクがあります。そういったリスクを軽減する為、咬みあわせを含めた包括治療をおすすめしています。
通院期間 | 8か月 | 治療時の年齢 | 62才 |
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かかった治療費 | 【インプラント 7本】 【上部構造(オールセラミック冠) 11本】 | 治療方法 | インプラント併用咬合治療 |
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術前
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術後
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術前
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術後
STEP4.メンテナンス
天然の歯でも入れ歯でもインプラントでも、大事に使えば長持ちします。身近にあるものも大切に扱えばずっと使えるのと同じように、あなたのかけがえのない歯を定期的にメンテナンスすることをお勧めしています。

PMTC
健康な口腔状態を保つことが歯周病の予防には欠かせません。その為に定期的なメンテナンスは不可欠です。
歯科衛生士による プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング(PMTC)を定期的に受けることをお勧めします。
生活習慣
歯周病はれっきとした細菌による感染症です。身体の免疫力が強ければ、病気に負けない状態になります。つまり、歯周病の発病、進行の予防には、生活習慣が大事です。歯ブラシの仕方、食生活、ストレス、喫煙を見直すことが大切になります。
歯周病と似た症状が出る歯牙破折

歯の根っこが割れたり・ひびが入ったりする歯牙破折は、歯ぐきが腫れたり歯周病とそっくりの症状がでます。
歯牙破折の場合は、割れたり・ひびが入った歯にだけ症状がでます。(歯周病の場合は、多くの場合、たくさんの歯に症状が出ます)
歯牙破折も重度の歯周病も歯を失う原因となりますので、症状があらわれた際には速やかに歯科医師の診断を受けてください。
症例紹介
当院で行った症例をご紹介致します
※記載している症例は、全ての患者さんに対して効果を保証するものではありません。
症例1 28才女性(妊娠9か月)
通院期間 | 2か月 | 治療時の年齢 | 28才 |
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かかった治療費 | 約10,000円(保険治療) | 治療方法 | 歯周初期治療 |

妊娠中はプロゲステロンというホルモンの分泌により歯ぐきがふくらみやすい為、特に歯石除去が重要です。一度歯石を取っただけで軽度歯周炎の場合は早期に治癒します。
症例2 左側奥歯周囲をリグロス及び代用骨を用いて再生治療 50才女性
通院期間 | 4か月 | 治療時の年齢 | 50才 |
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かかった治療費 | 120,000円 | 治療方法 | 歯周組織再生療法(リグロス) |

症例3
通院期間 | 5か月 | 治療時の年齢 | 58才 |
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かかった治療費 | 【エムドゲイン代】120,000円 | 治療方法 | 歯周組織再生療法 |
歯肉の下の歯石を取れば、病的な歯周ポケットが改善します。
