天然歯を残すためには「予防」と「初期治療」が大切です。
「できることなら抜きたくない」
「ずっと自分の歯でいたい」
こんな誰でも願うことを担う歯科医師は、基本を大切に、歯を残すことを諦めません。しかし、虫歯や歯周病が進行してしまうと大がかりな治療に頼らざるをえません。そうなってしまう前にできること、それが「予防」と「初期治療」です。
虫歯ができたら、予防で進行が止められるか、あるいは最小限の治療で治せるかを考えたいもの。虫歯でへこんだ部分に歯垢がはさまったままにせず、大きく穴があく前に早期発見できれば、歯科衛生士の適切な予防処置で再石灰化が起こり、その後のケアにより削らずに済むかもしれません。
歯の構造と虫歯の原因
歯の構造

どうして虫歯になってしまうのか?それを知るためには歯の構造を理解する必要があります。
歯髄
血管と神経の集まり。「神経」といわれるのは歯髄のこと。歯に栄養を送り、細菌が侵入すると痛みを起こして警報を出す役目があります。
歯根
歯肉に覆われてあごの骨の中に埋まっています。噛むときに、歯には大変強い力が加わりますが、歯全体をしっかりと支えているのが歯根です。つまり、見えないところで働いている歯の土台です。
歯根膜
歯根を包む膜。噛む力が加わったとき、骨とぶつからないないようにクッションの役目をしています。また、咬む圧力を感じるたいへん敏感なセンサーの役割も持っています。また、細菌と戦う免疫力を担うたいへん重要な組織です。
虫歯になる3要素
- 虫歯菌
- 糖分
- それらが口の中にある時間

虫歯菌が糖を栄養にして酸をだして、エナメルをとかすことが虫歯です。
この酸性に傾いたお口を中和していくことで虫歯のリスクは軽減されます。
すなわち、歯科衛生士と協力し、唾液の力を最大限にしたり、フッ素を使ったりすることが、「予防」なのです。
初期虫歯の治療法
もし穴があいてきても、初期虫歯であればCR修復(歯科用プラスチック、コンポジットレジン修復)を顕微鏡を使って行えば、とても正確に、そして最小限に治療が可能です。また金属とは違い、色や接着の面でとても良い仕上がりになり得ます。
症例紹介
症例①
通院回数 | 1回 | 治療時の年齢 | 21才 |
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かかった治療費 | 18,000円 | 治療方法 | マイクロスコープ(自費)併用、コンポレットレジン充填 |

初期虫歯の術前の状態です。

咬合接触点の印記を行い、その部分を避ける様に感染歯質の削除を行います。

術後の状態です。
症例②
通院回数 | 1回 | 治療時の年齢 | 28才 |
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かかった治療費 | 38,000円 | 治療方法 | マイクロスコープ(自費)併用、コンポレットレジン充填 |

銀歯の脱落が主訴で来院されていました。コンポジットレジン修復にて治療終え、2年3ヶ月経過後も歯髄は無事保存されています。

術後の状態です。
症例③
通院回数 | 1回 | 治療時の年齢 | 36才 |
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かかった治療費 | 38,000円 | 治療方法 | マイクロスコープ(自費)併用、コンポレットレジン充填 |

初期虫歯が見えます。

染色した歯質を精査し、残存する感染歯質を除去するためにエナメル質を削ります。

レジンを充填・研磨し、治療終了です。