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歯科医の使命

悪性腫瘍の骨転移予防の為、ビスホスホネート剤(以下BP製剤)を始めるにあたり、「将来抜歯の可能性のある歯は全て抜かれてしまう」と静岡市にあるK.S病院の口腔外科医に宣告された方が来院された。まだ49歳なのに。数年前に乳癌がみつかり、最近行った骨シンチグラフィーで骨転移の疑いがあり、BP製剤を始めると言うことなのだ。BP製剤投与自体正しい治療なのだろうが、抜歯を示唆された歯というのは、明らかに根管治療をすれば救えるはずなのに、なんと乱暴なことか。しかも奥歯3本。その方にもう一度口外の歯科医に抜かないで根管治療で治したいと相談してみたらどうですかと言って、わたしなりの手紙を書いて渡したところ、1週間も経たないうちにK.S病院の口腔外科医から抜歯はどうしても必要で、もう抜歯は済んだとの返信が届いた。目を疑い怒りがこみ上げてきた。そしてこともあろうに、私にその欠損部にブリッチを入れろとの事。ブリッチの土台になる歯も、神経のない歯で根管治療が必要なのに、基本がわかっているのだろうか。同じ歯科医として歯の保存学を見つめなおし、歯根膜の大切さを認識すれば考えも変わるはずである。

自分の専門分野からの目線でだけとらえてしまえば泣くのは患者である。